緊急!!野火止緑道の樹木の保全にご協力ください
署名活動の主旨
市民の憩いの場であり、生物多様性に富んだ野火止緑道の環境を次の世代に残してゆくため、
早期の【樹木を保全する管理】の体制づくりと実現を求めます。
提出先:埼玉県教育委員会教育局 文化財・博物館課、新座市教育委員会
江戸時代初期にこの地の飲料水の確保のため開削された野火止用水は、県の史跡に指定されています。野火止緑道は平林寺西側境界を流れる野火止用水に沿った遊歩道で、埼玉県の緑の保全区域の一部にもなっています。
水道の普及に伴い、用水はその役目を終えました。そしてかつてあった農家や畑、雑木林は市街地となり周辺の景観は大きく変わりました。そうした中、野火止緑道の区間は天然記念物に指定されている平林寺の境内林の林縁にあたり、市街地化を免れ、新座市内の野火止用水流域としては武蔵野の雑木林の面影を残す数少ないスポットとして散策者や自然愛好家に親しまれています。

●大規模に樹木が伐採された新座市の野火止緑道
野火止緑道では2024年から2026年の間に2回、遊歩道側と平林寺側で大規模伐採が行われました。今までも大規模な伐採は4~5年に一度ありましたが今回のものは短期間に連続しており、2024年は直径10㎝以下の樹木、今回はそれより大きい樹木も伐採されました。これにより野火止緑道の樹木は大幅に減少しました。
野火止緑道で最も多い樹木はクヌギとコナラです。野火止用水が開削された当時、クヌギやコナラは薪や炭の材料となる重要な燃料源として植樹が奨励されました。成長が早く、樹齢が20年程度になると切り出され、人々はその切り株から出た新しい芽を20年後にはまた大きな木になるように育てました。雑木林ではそうした萌芽更新が繰り返されてきたのです。しかし燃料が石油、ガスや電気に代わって以来放置されてきたクヌギやコナラは既に樹齢50~80年になっています。こうした老木はナラ枯れ病になりやすいと言われ、枯れると倒木の危険が出るため伐採する必要があります。現在野火止緑道にあるクヌギやコナラのほとんどはこうした老木ですので、野火止緑道の樹木を代替わりさせるのであれば、まさに今がその時であると言えます。
しかし市によるとこの伐採は「通常の管理」で、萌芽更新や植樹の計画はないとの事です。
現在の野火止緑道ではせっかくの切り株からの萌芽もどんぐりからの実生苗も、一律に繰り返される伐採と下草刈りにより消失しており、次代を担う樹木が育っていません。
これは野火止緑道からの樹木の消失を意味します。
●「埼玉県史跡野火止用水活用保存計画」の早期実現を要望します
この区域は埼玉県の「緑の再生のための取り組み」における「故郷の緑の景観」、平林寺の境内林の周辺として「みどりの保全地区」に指定されています。
新座市も「埼玉県史跡野火止用水活用保存計画」(2023年)において「野火止用水がもたらす歴史的・自然的環境は本市が誇る資源」(1)という認識のもと、「伐採を行った樹木についても-中略-後継樹木の植栽といった景観の回復が必要になってくる」(2)との方針を示しています。
(1)埼玉県指定史跡野火止用水保存活用計画(2023年)第4章P62 (2)同計画第4章P60
私たちは、この「計画」が早急に実施されることを要望します。
都市公園や街路樹であれば、強健で適応能力の高い樹種を選ぶこともできますが、その土地固有の景観の回復という観点からすれば、高木はもちろん中低木や蔓植物、下草も含めその土地固有の植物群があってこそ、その土地の人にとっては「懐かしいふるさとの」、そして他の土地から来た人にとっては「ユニークで魅力的な」景観が造られます。
こうした植物群は、相互に関係しつつ安定した集団を作っていますので、一度そのバランスが失われてしまうと、回復は大変困難です。また樹木の生長には時間がかかるので、手遅れになる前に、早急に保全のための計画が必要です。
目指したいのは『安全』と『保全』が両立するようバランスを取りつつ、伐採から再生へとつなげる持続可能なシステムの実現です。
●史跡野火止用水と野火止の自然
1950年代から70年代にかけて、水道の普及により役目を終えた野火止用水はもはや顧みられることなく水質は悪化。1980年代には上流からの放水も止められました。今の野火止用水の流れは、その歴史的価値を残そうという住民の気運により復活したものです。しかしその間、野火止用水を取り巻く状況は大きく変わりました。雑木林は切り開かれ、畑も住宅地へと変わってゆきます。

隣接する東久留米市との境を流れる野火止用水に併行した「水道道路」は市内でも有数の幹線道路の一つとなっています。
こうした変化の中で、雑木林を追われた動植物たちは、人間からは顧みられなくなった用水周辺に取り残された空き地や、わずかな法面、水路敷に身を寄せ生き延びてきました。
飲料水を供給していた当時の用水の姿からすれば現在のような雑木林化は本来の姿ではないのかもしれません。しかしそこにはかつての野火止の雑木林から受け継がれた生命にあふれた空間が残っています。それは野火止の雑木林の歴史を今に伝える、私たちに託された野火止用水のもう一つの遺産であると言えます。
だからこそ里山の自然が減少し、様々な生物が絶滅の危機に瀕している中で、いくつもの希少種の存在も確認されているこの野火止緑道の環境を、ぜひとも未来に、子供たちに残してゆく必要があるのです。
野火止の雑木林は野火止用水の賜物です。
私たちは野火止用水の歴史的価値を損なうことなく保存すると同時に、用水と、用水によってもたらされた豊かな雑木林の歴史的環境が調和した姿を、次の世代に伝えてゆきたいのです。

●市民のレクリエーションと健康にとっての大きな損失
雑木林の緑蔭のおかげで野火止緑道は夏でも周辺の市街地道路に比べ涼しく保たれています。そのため、通勤・通学に利用されているばかりでなく、犬の散歩やウォーキング、ジョギング、森林浴など健康増進のために利用する市民も多くいます。また、子育て中のファミリーには、幼い子供と安心して出かけられるお散歩コースとして、親子で楽しめる虫取りやバードウォッチングゾーンとして人気があります。
しかし、直射日光を遮る木々が消失することで日差しが直接照り付けるようになると、現在の快適な環境は失われてしまいます。
これ以上の樹木の減少は利用者にとって切実な問題です。
●樹木の消失は生物多様性の危機
2024年に実施された調査では、1年間を通して48種類のチョウが確認されました。関東の平野部で確認できるチョウが60種類ぐらいといわれていますから、その4/5が距離にして2kmに満たない遊歩道で確認できるのです。特定の食草や吸蜜に訪れる植物から、チョウの種類の多様性はその地域の植生の多様性のバロメーターになると言われています。野火止緑道には水辺の植物、林縁の植物、雑木林の下草、そして草原性の植物まで、多種多様な植物群がパッチワークのように組み合わさった植生の多様性があります。
それが、樹木がなくなり下草は夏場の強い日差しに晒され、今まで湿潤だった土壌が乾燥すると在来の植物は育たなくなり、攪乱された環境に適した繁殖力の旺盛な植物ばかりが増え、いわゆる造成地のような単調な植生になってゆきます。また、こうした繁殖力の旺盛な植物には、環境への適応力の高い外来植物が多いことも特徴です。
更に、野火止用水には様々な水生生物も生息していますが、近年自然下での繁殖の可能性が確認されたホタルの幼虫は、夏の水温が25℃以上になると育ちにくいと言われています。樹木の消失により直射日光が用水に降り注ぐのみでなく緑道全体の涼しさが失われることで、用水の水温の上昇を招きます。
水生生物への影響も深刻です。
このままでは緑道の景観は大きく変わり、生物多様性が失われるのみでなく、もはや武蔵野の雑木林の面影を留めることができなくなってしまうのです。
●要望項目 市民の憩いの場であり生物多様性に富んだ野火止緑道の環境を次の世代に残してゆくための、早期の【樹木を保全する管理】の実現。
ⅰコナラ、クヌギをはじめ苗木の育成と伐採されたヤマザクラ・ハンノキの萌芽更新。
ⅱ高木の他、中低木や下草を含めた多様な在来植物の保全を図り、用水の景観との調和が図られた適正な密度の調整や剪定等の管理を行う。
ⅲ上記管理を持続的に可能にする専門家アドバイザーの設置と市民ボランティア・サポーターの育成

